木綿のハンカチーフ

いや~、お肉が売れません! 困りました  

 

セールストークなどで使われるイエスバット話法というのがありますね。

相手に対して反論する場合一旦は同意で受けそのあと否定することで、心証を害さず自分のペースに持ち込むという。

 「このお肉、色悪くない?」

 「確かにそう見えますね~。けどこれはパックした時の色なんで、開けるとまたきれいに発色しますからね」

的な。

そりゃいいんですが

 

例によって懐古譚。太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」が大ヒットしたのはあたくし中学生の頃だったかと。

東京に出て行った純朴な田舎の青年が次第に都会に染められ変わってゆき、残してきた恋人と別れることになる過程を対話形式の詩で歌ったものでした。

お覚えかもしれませんが一応。全部書くと長いので適当に端折りますと。

 

 「東京行って素敵なプレゼント買ってくからね」

 「いいえ、欲しいもの無いけど変わらずに帰ってね」

 

 「半年経っちゃったね、指輪送る」

 「いいえ、宝石よりキスして」

 

 「スーツ買った、かっちょいい?」

 「いいえ、草に寝転ぶあなたの方が好き」

 

 「東京最高!ごめん、さよなら~」

 「涙拭く木綿のハンカチーフ手切れにちょうだい」

 

これね

俄か東京人の軽薄さが別れの原因と思われがちですが、先ほどの話法で行きますと全て彼女が否定から入っていることが分かります。

彼氏の心変わりは街のせいではなくこの会話にあったのではないかと、最近になってあたくし思い当たったんでありますよ。

ほんと、ど~でもいいことなんですけどね。

 「そうね、でもちゃんと仕事した方がいいわよ」 これぞイエスバット