ロックンルージュ

作業ズボンもジーパンとなり朝夕も冷え込むというほどではなくなってまいりました。 

前回の続き

 

スイトピーの件と違いここで海へと誘うのは男性の方であります。

前段階としてグッと渋いスポーツカーで「待たせたね」と乗り付けるのですが、ここで時代考証に入りますと携帯電話もメールもなかったこの時代事前に約束は取り付けてもその場に相手が確実に現れる保証もまた確認も連絡の手段もなく、かといって1ダースもいるガールフレンドを公言して憚らないだけに女の子より先に来て待ってたのではカッコつかない。

そこでこの男の取った手段は待ち合わせの場所を見通せる植え込みの影に1時間も前から隠れ、しかもそれは駐禁切られないよう車のすぐ前。

五分遅れで彼女が到着したのを確認後さらに五分間をドキドキのうちに待って車を発進させたのでありましょう。

故にグリースでかためた頭には開花前の四月のツツジの葉っぱが付いていたかも知れず、しかしその程度はお見通しの彼女は気振りも見せずサイドシートに乗り込んだんであります。

大体においてこういう場合女性の方が落ち着いており、この点一つとってみても男女の入れ込みがスイートピーとは逆に男性の方に針が触れてるのが分かろうというもの。

で、ここで海に行こうぜと指を鳴らすのですが時代考証によればポール牧師匠全盛のこの時代の指パッチンは、カッコつけるにはやや道化に流れるリスクがあったような。

加えて彼女の彼に対する動機が不純だとの反応も、それが夏場であれば水着姿見たいとかなんだろうけどよく分からない娘心(死語)。

 

さてここでこいつは彼女の肩に手を回すんであります。

スイトピーの男が手も握れないのに比べるとかなり積極的と言えますが、海に着き防波堤の上を歩きながらコクる時のもつれようからしてこいつも全く女慣れしていないのは明らかであります。

これは若さゆえの先走り、フライングと思われ、よってこの二人は学生で同い年、短大のサークルで知り合ったと推察されます。免許取りたての二十歳と二十歳。 

それは黙り込むのを恐れジョーク並べるあたりの浮わついた野郎の稚拙さにも表れており、不器用ながらもどこか落ち着いた感のあるスイトピーカップルにはまだ及ばない若気の至り。

話さなくとも一緒にいられる時間を感じられるだけで満たされるのが大人だしさ。

やっぱ経験値と年の功よね。

余談ながらこれも時代考証いたしますと、刑事ドラマの追跡シーンにまでシートベルト着用を求めるくっだらない現代のコンプラで言いそうなのが「片手運転は安全運転義務違反だ!」ってな話。

軽くつねられて離したんでしょうが。

すると今度は「ちょっとブルーに目を伏せるな!正面を見て運転しろ!」

なんてな ( ;∀;)

そりゃいいんですが

 

同い年の男女は女性の方が二つは精神的に上と言われるように、この二人も女性の方が軽くいなしながらも嫌よ嫌よも好きのうちを実証するかのようにキッスは嫌よと言っても反対の意味よと。

とはいえここで重要なのは PURE PURE LIPS で、要するにまだ💋してないことなんであります。

思い起こしていただきたい、スイトピーの彼女がもっと先の欲求を言っていることを。

このまま帰れないと。

そうです

二曲に渡る物語のヒロインはリリースの順とは逆になりますが、実は時を隔てた同一人物だったのです!

 

 ♪ 好きよ 今日まで会った誰より  I will  foiiow you あなたの生き方が好き ♪

 

この「誰より」の中にはルージュな野郎も含まれ、だってLIPS に関してはこの時済ませちゃってたんだもの。

い~んです!それが若さってやつだから。

逆に言えばこんなライトな恋愛を経たがゆえに実直であることの価値を知る事に繋がった訳だから。

しかしですよ

 

短大時代の聖子ちゃん(古語)となんとか💋までは漕ぎつけその後フラれたであろうこの男にも実は引きずる過去がありまして、それはスポーツカーは親父の所持品とは思えず今ほどレンタカーが普及していなかったことを考えると、おそらくは金持ち物持ちの友達を拝み倒してまで借りて用意したのには電車に対するトラウマがあったからなんであります。

想い人を誘い電車で海に行く途中逃げられたという。

 

 ♪ 電車の扉が閉まる瞬間 急に君だけ飛び降りたんだ 叩いた窓には 濡れた瞳が声にならないさよならを告げてた 

   夏になったら砂浜で 君をお前って呼びたかったよ(青いぞ坊主!)♪ 

                              (僕 笑っちゃいます) 

そうです、こいつは風見しんごだあ~!!