旅日記 前編

 健全なる魂は健全なる肉体に宿るらしいけど、どんだけ忙しくても酒を欠かさずあんまし寝なくてもなぜか健全な肉体を持ちながら魂の方は病んでるのが今のあたくしであります。

たまにはどこか知らないところに行って違う空気を吸おう!

 

ってな訳で四日五日と旅に出て参りました~!

ゴールデンウィークってやつですわ、一泊二日でも。

以前何度か乗ったサンライズとまでいかなくとも列車旅しながらダラダラ飲む飲み鉄ってやつをやってみたく、チケット探したけどそう都合よく空いてるはずもなく諦めかけていたところへ朗報が。

ごく親しくしているお友だちがここ数年乗り鉄としてすっかり旅づいておりまして、チケットゲットの秘策かなんか持ってるらしく間際に二席指定とってくれたのが東武特急リバティ号であります。

浅草と会津田島を結ぶ三時間あまりの長距離列車として人気で、かつてカヤック全盛期に通った思い出深い南会津を抜けるという今のあたくしにとって最も薬効高いコースと言えましょう。

 

超繁忙期の空席とあって早朝六時半の窓際前後二席。

お休みとはいえこの時間のプッシュ~はやや気がとがめそうなところ、通路側のお父さん(年は若いが子連れだから)に先を越され負けじと開栓。朝日を背にしたスカイツリーに乾杯であります。

 

 

 

柿の葉寿司をつまみにビールからハイボール、サワーと進みつつ酒どころの田島まで日本酒は封印。

一番のつまみである車窓の景色は街中から栃木の平野を越えて鬼怒川温泉を過ぎるあたりから緑深い山並みへと変わって参ります。

 

 

川治温泉を経てトンネルを抜け地下の湯西川温泉駅から陽光の下に出るとそこは会津高原であります。鉄橋の下は五十里湖の沈下林。

それまでのむせ返るように濃密な新緑の森は、目覚めて間もない冬木の枝に申し訳なさそうに並んだ薄緑の若葉の疎林へと変わり、地を割った細流が集まる川はごろた石の渓流とは異なり清流が直接岸辺の下草を洗い、どこか西洋の風景画を思わせる風情であります。

カエルアドベンチャー、クラス5といったカヤック師匠筋のツアーで馴染んだ大好きな早春の風景が目にも心にも甦って参りました。

震災の前週最大級の人数を集めたエルフツアーの中三依温泉はキャンプブームとあって、あの時貸しきりだったのが嘘のような天幕の花盛りでございました。

山中から下り勾配になると短軌道になり上下に細かい振動を繰り返すうち気づけば会津田島到着となります。

酔っぱらうには長すぎず短すぎず実に頃合いの汽車旅でございました。

 

後半へ続く