ガールウィズニードル

またまたなんか寒いような 

 

 予告編がアップされてるのを見てその異様な雰囲気に吞まれ、すぐに見てまいりました。

全編モノクロで顔のアップが多用された画面構成はどういうカメラワークなんだか産毛の一本、皺の一筋までが残酷なほどくっきりと見えて、生身の人間の凹凸がほとんど笑顔の無い役者さんの表情と共にまさしく異様な世界観を作り出しております。

 

第一次世界大戦直後のデンマークに生きるヒロイン(って感じじゃないけど)は出征したまま行方知れずの夫を待ちつつ縫製工場でお針子として働きながらも、家賃滞納で追い出された先は家畜小屋のようなあばら家であります。

醜いのかと思えば社長に見初められるあたりから美しくも見えてきて束の間幸せをつかんだかに思われたところで一変、社会保障というものがほとんど無かった時代は一度踏み外すとどん底まで急坂を転げるように落ちてゆくしかないという。

まあこの人も実に身勝手ではありますが。

 

そんな窮民の中においても親切な人もいたり、そうかと思ったらとんでもない奴だったりと、ともかく終始ピンと張った針金のような緊張感は見終わった後も続き、家に帰ってもあれは何だったのかとずっと考えてるような映画でありました。

 

もちろん内容は書かないけど実際にあった連続嬰児殺害事件に材を取った重たい作品。

表情を無くした人間と顔を無くした人間に救いはあるのか?

けどくせになりそうな「嫌な」感じでありました。

 

外回りで時間無いのでイラストも無し。