神田松之亟

昨夜は日本橋公会堂で開かれた講釈師神田松之亟独演会を観賞しました。

情報提供からチケット手配まで一手に引き受けてくれたのは、落語をはじめ日本の伝統芸能に造詣の深い我が師いばさく氏。ありがんした!禿頭に剃り上げ一見ゲイハーな師と盛りが落ちれば真性ゲイハーなあたくしと、ゲイとゲイで芸を再びってとこね。

 

 

同じくいば氏のご案内で以前白酒師匠の落語会の時たまたまゲストで出た松之亟を聞いて一発でファンになってしまったあたくし、聞けば彼は今や絶滅危惧種である講釈師の世界で復権を目指し気を吐く若手の登り龍とのこと。

「吉原百人切り」にまつわる因果噺の怪談から始まる三席の演目。院隠滅滅たるおどろではありましたがセットを用いた舞台演出は美しく、戸田の渡しに降り積む雪が深い余韻を残しました。

 

 

とりは今の時期の極め付け、忠臣蔵義士伝から「神崎与五郎の詫び状」

全くの素人ながら寸評的なことを言わせていただきますと、講談独特のあくの強さがより救いの無さを強調した怪談から続いて神崎の堪忍までひたすら溜まったカタルシスを、劇中劇とも言える講釈師の言い立てのチラ見せより丑五郎の純情で一気に晴らすという組み立ての妙、お見事でした。ちょっと泣いちゃった。

やっぱ日本人は忠臣蔵です!

 

神田松之亟。今様なまくらの振り方からその口跡の良さと緩急自在な語り口で一気に作り上げる世界は二つ目とは思えぬスケール感があり、歌舞伎、文楽など伝統芸能に通底するエッセンスを取り出して講談に新しい風を吹き込む予感があります。まだ33才?この先が楽しみであります。

 

終演後は人形町でいば師匠とちょい飲みしつつ今やセミカヤッカーとなったお互いの今を語り合いまして、後日を期してお別れとなりました。

 

 

師のおかげで久々にライブの快感に目覚めたあたくし、来年からはより同志を募っての鑑賞会などもできたらいいなあと。

いばちゃんありがとね、またいろいろ教えてね~!