暁の光

いきなりでなんですがその昔「ウルトラファイト」というテレビ番組がありました。

かつて一世を風靡したウルトラマンシリーズも飽きられて凋落し、はるか後「ウルトラマンティガ」で復活するまでの低迷期の事事でした。

何もない屋外とかセットでも何も無い場所で怪獣の着ぐるみ同士が戦うというだけの五分ほどの番組で、うらぶれたドサ回り感がかつてウルトラマンワールドに憧れた少年としてはどうにもいたたまれませんでした。

で、何故こんなにも着ぐる感丸出しなのかと考えた結果、バックとの縮尺だけではない何かがあると。そしてそれは目が光ってないからだという事に思い至ったんであります。

眼の光といえば小学生の頃鉄人28号のプラモ買ってもらって作ったら、電池で光るはずの目の部品が壊れてて悲しみに沈んだことがあったってなんて。

まさに目というのは活力の象徴。池波正太郎の作品でもよく「梅安は眼の光を消して女を見た」なんて表現が出てきましたね。

 

真冬に入りつつあるこの時期、未明の配送便に出ておりますとまだ真っ暗な中を車が行きかっており、フロントガラスの反射を嫌うドライバーの座る座席もまた闇の中。そんな中荷下ろしなどで停まっている車で室内灯を灯しているととても目立ちます。あれ見るとね、いつも浮かぶ場面がありまして。

 

「トラ・トラ・トラ」は真珠湾攻撃を描いた日米合作映画で、後に聞いた話すが当初日本側の監督だった黒澤明は、艦長室の机の引き出しに本物の戦陣訓を入れるところまでこだわったあまりのがクレージーだと交代させられたんだそうです。

もちろんCGなど無い時代、一部模型を使った特撮を除いて全てが本物という空前のスケールでした。

特に飛行機の数がもの凄い!敗戦後日本に残った軍用機は全て壊され埋められたそうで、九九式艦爆やゼロ戦などは機影の似た飛行機を塗装し直して使ったそうです。

密かにアリューシャン列島は単冠湾沖に集結した大日本帝国連合艦隊の航空母艦上から、真珠湾目指して未明の空へ次々に飛び立ってゆく艦載機。無論戦争大嫌いだけどあくまでも映画上だけのことでいえば勇ましくて胸躍るところ、そのシーンの航空機のコックピットが光ってたんですわ~。

友軍機を待って上空を旋回する機体の風防ガラス、エンジンから吐き出される排気煙。次第に明けゆく空を背景に光る航空機の窓、窓、窓。数ある映画のマイ名場面の中でも絶対に忘れることのできないシーンでしたね~!

 

折しも昨日は電文「ニイタカヤマノボレ1208」の12月8日でした。

歴史には数多くの「もし」が存在しますが、その大きな「もし」がその後の運命を分けた日でありました。

「この世界の片隅に」見なきゃね。