舟歌
またまた台風だそうで、三連休お出かけの方はお気の毒。
あたしゃ仕事ですけど
妄想歌謡曲のコーナーです。
八代亜紀「舟歌」
お酒はぬるめの燗がいい 肴は焙ったイカでい
女は無口な人がいい 灯りはぼんやり灯りゃいい
いかがでしょうか、男のつぶやきだけで状況設定から心情までを理解させる作詞家阿久悠プロの凄みであります。
加えてこの作品はあたくしの掲げる「でがわ問題」を端的に表しております。
でがわ問題とは何か?
○○「が」いい、と、○○「で」いいという表現を見た時に、前者が希望を表しているのに対し後者は妥協を表しているという。「わ」はリズム感でつけただけ。
併せてこの歌詞を見た時、それは必要条件と十分条件の違いであるということが立ち上ってまいります。
即ち
この男にとってお酒「が」必要でぬる燗ならなお良し、肴はイカ「で」十分、焙ってあれば嬉しい。
そうです
一日二杯の酒を飲み 肴は特にこだわらず 河島英五「時代遅れ」
的な。
同様に女は必要ですが酒ほど強い希求でもなさそうな?そして明かりは十分条件という事になりましょう、無きゃ見えないし。
しかしこの時点ではまだそれがどういう素姓の女であるかは判然としません
店には飾りがないがいい 窓から港が見えりゃいい
流行りの歌などなくていい ときどき霧笛が鳴ればいい
渋いですな~。
してみると女は昔で言うところの酌婦(差別用語指定)でありましょうか。
ここで重要なのは店には飾りも音楽もない点で、これがですよ、ジャンじゃか音楽なってるケバけばしい店となると
「渚さん渚さ~ん!8番テーブルでお呼びで~す!」
「ごめ~ん、ちょっと行ってくるね」
「なんだよ~、チケット追加しとくからよ」
ってなことに。
横須賀のキャバレーパイイチ(昭和だなあ)になっちまう。
鄙びた漁村にある小さな居酒屋で旅の途中立ち寄った中年の男が、かそけき美しさはありながらどこか影のある女を相手にしみじみ飲んでいる。
胸に去来する昔を想えばふと口をついて歌の一つも出ようという
♪ ダンチョネ~ ♪
それかよ!
ではあたくしの必要十分条件を満たす詩に置き換えてみたいと思います。
女は無口な人がいい 話して楽しい人もいい
シャワーはプレイの後でいい 灯りはぼんやり灯りゃいい
結局それかい!